璃房ステンドグラス

DIARY日記

20代なかばからいた、ベテランの生徒が・・・

辞めたいと言い出したが、私は認めなかった。
「10月いっぱいで・・・」と生徒。
「じゃ、ここを辞めるか、私と結婚するかのどっちかだ!」
「辞めます!」
言葉の選択を間違ったみたいだ。
もう1人、結婚で辞める生徒がいる。プロポーズの言葉を聞いたが赤面して教えてくれない。
興味本位の私は2週にわたり聞いた。
「◯で~◯してたから~◯怒っちゃったんだけど~◯最後は号泣しちゃった」
あっそう、今度は私が赤面する番だった。
今、NHKのラジオでピアフの歌が流れている。
10年以上前に亡くなったマダムを思い出した。今日が命日だったのでは。
マダムは璃房が好きだった。とても楽しそうで、部屋が明るくなった。とても華やかな人でよく飲み歩いた。
癌かも知れない。「明日の検査でガンだったら、作りかけのランプ完成させてね」
それが最期になった。
亡くなったメールを生徒数人にした。『仕事中に泣いてしまいました」と返信がきた。
お通夜の帰りは仲の良かった3人で飲んだ。マダムの分のワインもあけて4本。夜1時をまわっていたが、マダムの部屋に灯りがついていたので最後の挨拶に行った。酔っぱらい3人を姉2人は快く迎えてくれ、キープしていたワインと『夢』と書かれた焼き物をいただいた。
「工房がつぶれた時にはこのワインをあけようね」そんなことを言っていた。まだ奥にある。
私のあまり好きではない言葉の『夢』は冷蔵庫の上でみんなを見れるようにしてある。
第1回の教室展に、遺言通り仕上げたが、100ピース以上切ってない。おかげで前日は貫徹だった。間に合わない生徒2人も徹夜した。
なんて曲名だったかな~マダムが好きだった曲は「歩いて行こう」みたいに記憶している。
お別れパーティーの最後に流れた。ワインとお花と、最後まで華やかだった。
忘れていたのを怒ったマダムがピアフを聞かせたのかな。