璃房ステンドグラス

DIARY日記

美術展を前に思うこと・・・

ステンドグラスをしていて1番嬉しかったのは、2002年第1回の美術展の時です。
前回、第3回の最優秀は私を有頂天にさせ、100円万と若干の知名度を上げた代わりに、ガンガンに舞い込むであろうと目論んだ仕事は徐々に減り、建築業界からはそっぽを向かれ、同業者からは「五味の才能も枯れたか」とささやかれ。何処かの裏事情通のおばさんには、「材料を沢山買ったから取れたのよ~」っと・・・
今回私は長いエネルギー充電期間を経て、大変手間のかかる作品を、仕事を調整する必要もなく仕上げました。
さて私にまだ謙虚さがあった2002年、何の賞にも入らなかった第1回の美術展のこと。
私の1つ隣が最優秀賞の作品でした。この作品にあって、私の作品に無いもの?
自分の作品をもう1度右上からじっくり見ていました。そして感じました。
『これはいい!たとえ別の人が作ったとしても、私はこの作品の前で立ち止まり「この人にはかなわないかもしれない」そう思うだろう』(本当に)
でも、みんな自分の作品が1番で自画自賛の群衆の1人にすぎないのかも?とも‥
帰る直前、会場で係の人から「五味さんの作品はたいへんいい、ぜひ会って話がしたい。そう言ってる人がいます。十條の工房にいた三ツ矢っていいます」と言われました。
私の作品を良いって思っている人がいる。しかも名前に聞き覚えがあった。
その人がいるスライドレクチャーの会場へ。開演のギリギリだった。
後ろ側の席に着くと私のうわさ話が聞こえた。
「彼の作品はいいよ、賞に入らないのはおかしい。名前が~五味だ」そんな言い方だった。私に聞こえるように言ってるのかも。それで充分だった。それで満足だった。振り返って「私です」とは言わなかった。
レクチャーが終わると後ろの席から話しかけられた。
「五味さんですか?」そして作品を褒められた。(私以外にいいと思ってる人が!)
海外の本でセンスのいい日本人が載っていた。三ツ矢さん、その人だった。
「ワグーナーも世界に通用するって言ってたよ、挨拶すれば」
デリックス工房のデイビット・ワーグナーさんが、ステンドグラス世界の動向を通訳を通しレクチャーしに来ていた。彼が1人なった時に挨拶に行った。でも英語はしゃべれない。
名刺交換だけで終わる所だったが、ワーグナーさんが名刺を取りに向かった先に通訳が。
お願い!訳して。
「茶色の作品を作った」
「シュ、シュ」身振りで作品を確かめるワーグナーさん。
「そうだ」(うなずく)
「来い!お前の作品に◯が付いてる」
そして鞄の方に連れて行かれ「見ろ!」
私の作品に◯が付いていた。何の賞にも入ってないのに。
嬉しかった。そして海外の作品が載った本をくれた。
「海外で作品展があったら出すか?」
「もちろん』
そして向こうから握手を求められ、握手した。
うれしかった。
通訳の女性もうれしそうだった。
帰りの新幹線の中でニンマリした。もう嬉しくて嬉しくて・・・。
私は過去にこの話を30回ぐらいしかしていない。
その後も賞を取った作品より、第1回の作品を褒められることがありました。
私にはその方が嬉しかった。
そんなことがあって、美術展には思い入れがあります。育ててもらったのかも。
そんな出会いのおかげで、自信を失わずにすみました。
たとえ賞に入らなかったとしても、見てる人は見ていると思います。
気になる作家さんの名前を私は憶えて帰ります。
審査員全員が10点の作品より。10点か2点かみたいな作品の方が良いと聞いたことがあります。物議を醸し出す作品は良い作品かもしれませんし、気付かれない良い作品もあるかもしれません。また良い出会いがあるといいです。
自慢話みたいなブログになって申し訳ないです。しばらくは真面目な文になると思います。